僕たちは生きていく上で、いろんな事象を経験する。その経験する事象についてまとめたものがこちらの『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』(以下、『認知バイアス事典』)である。
読んでみた感想としては、「あぁ、アレってそういう名称だったんだ!」みたいな事象がいっぱい詰まっていたので、見ていて退屈しなかった。
しかしあくまで本書は『認知バイアス事典』であるため、教科書や参考書のような勉強のための本と言っても差し支えないだろう。
覚えておくべき8種類の認知バイアス
認知バイアスと言っても、その種類は非常に多いものだ。
ここから先は僕たちが生きていく上でよく経験するであろう事象、もとい認知バイアスを8種類紹介していく。どれも『認知バイアス事典』に載っているものの中ではかなり有名である。
①確証バイアス
自分の正しさを証明するため、自分にとって都合の良い情報だけに目を向け、都合の悪い情報には一切目を向けないこと。
② 対人論法
相手と議論しているとき、相手の人格を攻撃するなど議論の内容とは全く関係ないことでさりげなく論点のすり替えを行うこと。
『お前だって論法』が最たる例だが、他にも相手の意見を簡略化したり極端なものにし、その歪めた論点を非難することで議論を有利に進める『藁人形論法』というのもある。
そもそも議論自体、頭の回転速度と押しの強さが何より求められるので、この認知バイアスについて知ったところでどうにもならない。議論に強くなりたければ、ひろゆきの切り抜き動画でも見て勉強すればいいと思う。
③ 単純接触効果
何度も対象に接している内に、その対象に対して好感を持つ現象のこと。
④ 身元の分かる犠牲者効果
特定の個人を例として示すと、周りからより高い関心や共感を得られること。
募金活動するとき「アフリカで何万人もの人々が苦しんでいます」と発表するより、「アフリカに住んでいる○○ちゃんが苦しんでいます」と発表した方が効果的ということである。
⑤ 現状維持バイアス
たとえ役に立つようなものであったとしても、知らないものや経験したことのないものを受け入れることに心理的な抵抗が生じ、現在の状況に固執してしまうこと。
⑥ 認知的不協和
自分の思考と行動が矛盾している状態。
就職活動しなければいけない時期にいる学生が、このまま遊んでいてはいけないと思いつつも遊んでいるような状態のこと。
⑦ モラル信任効果
自分はこれだけ人の役に立つようなことをしたんだから、ちょっとくらい人の迷惑になるようなことをしたっていいだろうという考え。
「人の役に立つようなこと」が免罪符になっているが故に起こる。
⑧ 信念の保守主義
情報が与えられても、自分の信念をそう簡単には変えられないこと。
のび太が自分一人だけでジャイアンとスネ夫を完膚なきまでに叩きのめしたとしても、誰もそんなことを信じようとしない。
「え、のび太がそんなことできるわけないやろ!」
と一蹴するだけだろう。後にそれが事実だと確定したとしても、誰もなかなかそれを受け入れることができない。
まとめ
本の感想ではなく、ただの認知バイアスの紹介だけになってしまった。
しかしどれも日常生活で経験するようなことばかりなので、その一つ一つにちゃんと名称が付いていることを知ることができて良かったと思う。
今後、同じようなことを経験するはめになったとき、「あぁ、オレは今自分にとって都合の良い情報だけを求めている…、確証バイアスだな!」と認識することができるようになることだろう。