僕はかつてクビになった印刷会社で、囚人の穴掘りをさせられたことがある。
直属の上司から新人教育という建前で、明らかに意味のない作業を延々とさせられた挙句、最後は紐を渡されて
「早く自〇しろ」
とまで言われた。
近年、パワハラは問題視されている。殴ったり蹴ったり怒鳴り散らしたりといった明らかな暴力行為は鳴りを潜めつつある。
代わりにひたすら圧力をかける。ただ穴を掘ってそれを埋めるだけの作業を強いるといった嫌がらせをしてくるようになったと思う。
僕が過去に受けた囚人の穴掘りという名のパワハラの一例を紹介していく。
クリアファイルの袋詰めを延々とやらされる
クリアファイルのサンプルを得意先に送るとき、OPP袋に詰め込む必要があった。クリアファイルを傷つけないようにするのはもちろん、袋の中に空気が入らないようにしなければならないため、意外と難しい。
そんなクリアファイルの袋詰めが終わり、その旨を上司に報告した。しかし上司は僕の成果物を手に取るや否やこう言った。
「相手お客様だからさ、こんな汚いの渡されたらどう思うか分かるだろ?」
すると上司は
「やり直し」
と、無造作に僕の成果物を投げ捨てた。
終業時間はとっくに過ぎていた。運送便も決して来ることはない。おまけに急ぎでないにも関わらず、こんな無駄な作業を延々とさせられた。
嫌々ながら作業している内に、上手くクリアファイルの袋詰めができるようになった。
「おぉ、いいんじゃない?」
上司は袋詰めされたクリアファイルを手に取り、しばらくそれを見つめていた。ところがその直後、上司は袋をビリビリと破り出した。
驚く僕の顔を見て、上司はあっけらかんと言った。
「いや、ただの練習だから。キミが内職の仕事を速くこなせるようにするための」
帯留めされた何百枚ものカードを数えさせられる
クリアファイル以外にも、カード類もサンプルとして得意先に送っている。その際、絵柄や枚数に違いがないようしっかり確認する必要がある。
上司から命令され、僕はその作業に取りかかった。
カードは少なくとも200~300枚あった。僕は必死にカードの絵柄を確認しつつ枚数を数えた。
作業を終えたので、上司に報告した。しかしまたしても上司はあっけらかんと僕に言った。
「絶対に間違ってないって自信ある? もう1回数え直して」
もやい結びの練習をさせられる
もやい結びとは、首吊り自〇をする上で紐が絶対に解けないようにする結び方である。
カード類に紐を付ける際、このもやい結びで付ける必要があると上司に言われたのだが、どう考えても固結びで十分であるのは言うまでもない。
これまで上司が僕に強いてきたパワハラを考慮するに、上司は僕に会社を辞めて欲しいどころか、
「早く自〇しろ」
と言っているのだと確信した。同じ部署の人たちは誰一人味方してくれなかったし、幹部も僕に辞めて欲しかったのだろう。
まとめ
どんなに規制されたとしても、必ず抜け道を探す連中はいる。いじめやパワハラだって同じことだ。