「つい先月までは緊急事態宣言が出てたせいで、電車の中に全然人がいなくて困ってましたけど、今月からはこの " 痴漢冤罪 " でしこたま稼いでいきます。」
そう語るのは、金丸真帆さん。
彼女は高校卒業後、飲食業界から無事内定をもらったものの、時期としては新型コロナウィルスが日本に蔓延し始めたタイミングだった。
4月の入社式を目前に控えていた金丸さんだが、内定先の企業が 3月末で破産宣告を受けたという。
内定は運悪く取り消しとなってしまい、金丸さんは無内定で高校を卒業することになってしまった。
卒業してからも就職活動に取り組むものの、どの企業からも求人がないため、非正規の職にすら就くことができないでいた。運良く面接まで行けた企業もあったが、コロナ不況により倍率があまりにも高かったため、結果不採用となってしまった。
肉体的にも精神的にも追い込まれた金丸さん。満員電車の中、スマホで次々就職サイトに登録していく。所持金も底を尽こうとしていたところ、金丸さんは突如、30代半ばの男性に対して自身の胸を密着させた。
「この人、痴漢です!! 今私の胸触りました!!!」
周りにいた人たちは、その男性を有無を言わさず取り押さえた。男性の「俺は何もしていない!!」と周囲への主張も虚しく、鉄道警察隊に連行されていった。
金丸さん自身、今自分で何をしたかしばらく分からないままだった。
◇ ◇
我に返った金丸さんは、男性に対して自分が何をしたのか理解した。
金丸さんは『痴漢冤罪』をでっち上げてしまったのだ。
心身ともに追い詰められていたとはいえ、何の非もない男性に対して取り返しの付かないことをしてしまった金丸さん。そのときは罪悪感でいっぱいだったものの、裁判を通して被告人となってしまった男性から、多額の慰謝料を獲得したことによって、考えが一変する。
「当時は本当にその…、疲れ果てていたとはいえ、とんでもないことをしてしまったと思ったんですけど、今となってはこんなことでいっぱいお金が貰えるんだって思うと、また次もやりたくなってしまうというか…」
コロナ不況により、大幅に消費が落ち込んでしまった日本経済。多くの人が派遣切りやリストラに遭い、生活保護を受給したりホームレスになる人たちが激増した。
「職に就きたくても就けなくて、でもお金は稼がないといけなくて、政府は休業手当も何も一切企業に負担してくれなくて、挙句の果てクソみたいなマスク 2枚配布して終わりって…、あまり言いたくないんですが、日本がこのままだと今の私みたいな方法でお金を得る人、今後も増え続けると思うんです。」
しかし最近になってようやく国民一人一人に 10万円もの給付金を支給するという動きが出てきた。しかし金丸さんはどこか浮かない様子だった。
「え、今さら 10万配るんですか? って感じでした。もっと早く国が動いてさえいれば、倒産してしまう企業も生活保護やホームレスに落ちて命を絶ってしまう人もいなかったんじゃないですかね? それにもう私は " 痴漢冤罪 " という事業でお金を稼げるようになりましたので、ほとんど必要ないとさえ思ってます。」
金丸さんのしている " 痴漢ビジネス " というのは、無実の男性を貶める恐喝罪そのもので、それを痴漢に仕立て上げ、警察に通報してしまうと虚偽告訴罪となる。バレてしまえば懲役10年は下るだろう。さらに名誉毀損や威力業務妨害などにも問われる可能性がある。
「厳密に言うなら、私のしていることは犯罪そのものです。ですが、今まで男性の方からそういった件で訴えられたことは一度もありません。そもそも電車やバスといった公共交通機関の中では、私たち女性の声が何より最優先されるので、証拠なんて一切残りませんよ。」
金丸さんはその " 痴漢ビジネス " で今までどのくらいの額を稼いできたのか。
「76万5000円ですね。コロナ禍でありながらこれだけ稼げるなんて思ってもみませんでした。近々 YouTubeの方でも『簡単に痴漢冤罪をでっち上げて大金を得る方法』について紹介していこうと考えてます。」
◇ ◇
「痴漢にでっち上げられた男性には大変申し訳ないとは思うんですが、この方法も正社員や公務員など、いわゆる普通の雇用形態に縛られない新しい生き方の一つとしていろんな女性の人たちに示していければと思っています。」
コロナ不況により失業者が激増する中、満員電車内の男性を痴漢の加害者にでっち上げることで、その男性から慰謝料をむしり取る " 痴漢ビジネス " を行う女性の数は飽和しつつある。男性にとっては最早生きづらさしか残らないだろう。
(ウィークリーニュース・咲山巧)